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■ Physics ■

こんにちは。

今回は、「万有引力とケプラーの法則」についての話題です。


では、さっそく、考えてみましょう。



まずは「万有引力」についてです。


質量を持つ質点は、互いの質量の積に比例し、互いの距離の2乗に反比例する力で引き合う

という法則を「ニュートン」が見出し、これを「万有引力の法則」という。

質量 $m$ 、$M$ の2つの質点1,2が $r$ 離れている場合、質点2から質点1にはたらく万有引力 $F$ は 上記の「万有引力の法則」から $$\therefore m\frac{d^2\overrightarrow{r}}{dt^2}=\overrightarrow{F_{21}}= - ~ G \frac{Mm}{r^2}\left(\frac{\overrightarrow{r}}{r}\right) \cdots(ア)$$ で与えられる。

$G$ は「万有引力定数」と呼ばれ $$G = 6.672\times10^{-11}~~~[~\mathrm{N\cdot m^2/kg^2}~]$$ と求められている。
ここで、地球が物体に及ぼす万有引力を「重力」とよぶ。
地球の半径を $R = 6.4\times10^6~[~\mathrm{m}~]$、地球の質量を $M=6.0\times10^{24}~[~\mathrm{kg}~]$、 質点の質量を $m$ [ kg ] とすると、 $$F= m \alpha =6.7\times10^{-11}\times\frac{m\times6.0\times10^{24}}{(6.4\times10^6)^2}\fallingdotseq 9.8\times m$$ $$\therefore \alpha = 9.8~~[\mathrm{m/s^2}]$$ と求められる。この $\alpha$ を「重力加速度」という。

万有引力エネルギー $U(r)$ は、(ア)の式 $F=G\dfrac{Mm}{r^2}$により、 $$U(r)=\int_{\infty}^{r}G\dfrac{Mm}{r^2}~ dr$$ $$U(r)=\Big[-G\dfrac{Mm}{r}\Big]_{\infty}^{r}$$ $$\therefore U(r)= -~ G\dfrac{Mm}{r} \cdots(イ)$$ で与えられる。

つぎに「宇宙速度」についてです。

地表ぎりぎりのところを回る人工衛星の速さ $v_1$(これを「第1宇宙速度」という。) を考えよう。

地球から万有引力を受けて半径$R$の円軌道を第1宇宙速度 $v_1$ で運動する人工衛星(質量 $m$) に対して、 円運動の運動方程式より、 $$m\frac{v_1^2}{R}=G\frac{mM}{R^2} \cdots(ウ)$$ から、 $$\therefore v_1 = \sqrt{\frac{GM}{R}} \cdots(エ)$$

半径 $R$ の地球から上空 $h$ の位置で、 質量 $m$ の衛星に瞬間的に初速を与えるだけで地球の引力圏を脱出させることを考えよう。
そのとき与えるべき初速 $v$ は、地球の質量を $M$、万有引力定数を $G$ とすると、
「力学的エネルギー $E$」は $$E = \frac{1}{2}mv^2 - G\frac{Mm}{R + h}$$ で与えられ、脱出できるためには、 $$E \geqq 0$$ であればよいので、 $$\frac{1}{2}mv^2 - G\frac{Mm}{R + h} \geqq 0$$ を満たせばよい。これより、 $$v \geqq \sqrt{\dfrac{2GM}{R + h}}$$ ここで、 $$\therefore v_2 = \sqrt{\dfrac{2GM}{R + h}} \cdots(オ)$$ を「第2宇宙速度」という。

衛星の速度が0になった瞬間、衛星に大きさが $v_0$ で地球の半径に垂直な方向の速度を与えて、 衛星が地球の中心 O を中心とする等速円運動させることを考える。

$$向心力 = 遠心力$$ を満たせばよいから、 $$m\frac{v_0^2}{R+h} = G\frac{Mm}{(R+h)^2}$$ $$\therefore v_0 = \sqrt{\dfrac{Gm}{R+h}} \cdots(カ)$$

つぎに「ケプラーの法則」についてです。

【 ケプラーの法則 】

第1法則: 惑星は太陽を1つの焦点とする楕円軌道上を運動する。

第2法則: 太陽のまわりを回る惑星の面積速度は一定である。

第3法則: 惑星の公転周期の2乗は、楕円の長半径$\left(長軸の長さの \dfrac{1}{2} \right)$ の3乗に比例する。


質量 $m$ の質点が位置 $\overrightarrow{r}$ で、力 $\overrightarrow{F}$ を受けて 運動しているとき、運動方程式は、 $$m\dfrac{d^2\overrightarrow{r}}{dt^2} =\overrightarrow{F} \cdots(キ)$$ である。
いま、(キ)の両辺に左から $\overrightarrow{r}$ をベクトル積(外積)として掛けると、 $$\overrightarrow{r} \times m\dfrac{d^2\overrightarrow{r}}{dt^2} = \overrightarrow{r} \times \overrightarrow{F} \cdots(ク)$$ ここで、$\dfrac{d}{dt}(\overrightarrow{r}) = \dot{r}$ とおくと、(ク)は、 $$r\times m\ddot{r} = r\times \overrightarrow{F} \cdots(ケ)$$ と書ける。 $$\frac{d}{dt}(r \times \dot{r})=\dot{r}\times\dot{r}+r\times\ddot{r}= r\times \ddot{r}$$ であり、$\dot{r}\times\dot{r}=0$ であることを利用すると、(ケ)は、 $$\frac{d}{dt}(r\times m\dot{r})= r \times \overrightarrow{F}$$ となる。つまり、(ク)から $$\therefore \frac{d}{dt}\left(\overrightarrow{r} \times m\dfrac{d\overrightarrow{r}}{dt}\right) = \overrightarrow{r} \times \overrightarrow{F} \cdots(コ)$$ という結果を得る。
ここで、左辺の $$ m\frac{d\overrightarrow{r}}{dt}= m \overrightarrow{v}=\overrightarrow{p}$$ の量は「運動量」である。このとき、左辺について、 $$\overrightarrow{r}\times \overrightarrow{p} = \overrightarrow{L}$$ を

点Oまわりの「角運動量 $\overrightarrow{L}$」 $\cdots(サ)$

という。
また、(コ)の右辺の量 $$\overrightarrow{r}\times\overrightarrow{F} = \overrightarrow{N}$$ を

「力のモーメント$\overrightarrow{N}$」 $\cdots(シ)$

という。

質点にはたらく力 $\overrightarrow{F}$ が $\overrightarrow{r}$ と平行であるとき、 その力を、「中心力」 という。
このとき、 $$\overrightarrow{N} = \overrightarrow{r}\times \overrightarrow{F} = 0$$ となるので、 $$\frac{d\overrightarrow{L}}{dt} = 0 ~~\Longleftrightarrow~~ L ~=~一定$$ である。つまり、

「質点に中心力のみがはたらくとき、角運動量は一定に保たれる」 $\cdots(ス)$

が成り立つ。
これを「角運動量保存則」という。

太陽のまわりを回っている惑星は、太陽から万有引力をうけて「楕円軌道」を描く。今、質量 $m$ に作用している 力は万有引力のみと考えて、太陽の中心を原点にとると、惑星にはたらく力は「中心力」である。 中心力のみが働くので「角運動量は保存される」。
ここで、 $$\frac{1}{2}\overrightarrow{r}\times \overrightarrow{v}$$ を「面積速度」という。 $$\overrightarrow{v}=\frac{d\overrightarrow{r}}{dt}$$ より、 $$\frac{1}{2}\overrightarrow{r}\times \overrightarrow{v} = \frac{1}{2}\overrightarrow{r}\times \frac{d\overrightarrow{r}}{dt}$$ $$=\frac{1}{2m}\left(\overrightarrow{r}\times m\frac{d\overrightarrow{r}}{dt}\right)$$ $$= \frac{1}{2m}L$$ (コ)より、 $$\frac{d}{dt}\left(\frac{1}{2m}L\right) = \overrightarrow{r}\times\overrightarrow{F}$$ ここで、「中心力のみ働く」ので、 $$\overrightarrow{r}\times\overrightarrow{F}=0$$ であるから、 $$\frac{d}{dt}\left(\frac{1}{2m}L\right) = 0$$ $$\frac{1}{2m}L ~~= ~一定$$ $$\therefore \frac{1}{2}\overrightarrow{r}\times \overrightarrow{v} ~= ~一定$$ 以上より、

「惑星の角運動量は一定に保たれる」 $\cdots(セ)$

といえる。
これを「ケプラーの第2法則」という。

いま、衛星の軌道が「円軌道」を描くとき、衛星の円運動の角速度を $\omega$ とすると、 $$MR~\omega^2 = G\frac{Mm}{R^2}$$ $$\therefore \omega^2 = \frac{GM}{R^2} \cdots(ソ)$$ 円運動としての公転周期 $T$ は $$T = \frac{2\pi}{\omega}$$ と書けるから、 $$T^2=\frac{4\pi^2}{\omega^2}$$ $$T^2 = 4\pi^2\frac{R^3}{GM}$$ $$\therefore \frac{T^2}{R^3}= \frac{4\pi^2}{GM}=(一定) \cdots(タ)$$ となって、「ケプラーの第3法則」がいえる。
また、衛星の軌道が「楕円軌道」を描くときも、 長軸の長さの半分を $R_0$とすればすれば 円軌道と同様に $$\therefore \frac{T^2}{R_0^3}= \frac{4\pi^2}{GM}=(一定) \cdots(チ)$$ として、同じく「ケプラーの第3法則」がいえることが知られている。






いかがでしたか。
理解は出来ましたか?

では、また次回にお会いしましょう。