こんにちは。
今回は、「整数の証明」がテーマです。さっそく、考えてみよう。
ポイント
連続する$k$個の整数の積は$k!$の倍数
問題
- $n^2-1$は8の倍数であることを証明せよ。
- $n^5-n$は3の倍数であることを証明せよ。
- $n^5-n$は120の倍数であることを証明せよ。
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$n^2-1=(n-1)(n+1)$により、$n-1=2a$($a$は整数)とおくと、
$n-1$は偶数。このとき、$n=2a+1$より、$n+1=(2a+1)+1=2(a+1)$だから、
$(n-1)(n+1)=2a\cdot2(a+1)=4a(a+1)$である。
ここで、4を因数に持つため「4の倍数」である。
また、$a(a+1)$は、連続2整数であり、一方を偶数とすれば片方は奇数になるので、
$(偶数)\times(奇数)=(偶数)$により、「偶数」。
ここで、$a(a+1)=2b$($b$は整数)とおくと、$n^2-1=4\cdot2b=8b$である。
よって、$n^2-1$は「8の倍数」であることが示された。 //
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$n^5-n=n(n^4-1)=n(n^2-1)(n^2+1)=(n-1)n(n+1)(n^2+1)$
ここで、$(n-1)n(n+1)$の部分は、連続3整数なので、「少なくとも一つは3の倍数を含む」。
よって、$n^5-n$は「3の倍数」であることが示された //
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前問2.において、$n^2+1=(n^2-4)+5$と変形して適用すると、
$n^5-n=n(n-1)(n+1)((n^2-4)+5)$
$=n(n-1)(n+5)(n^2-4)+5(n-1)n(n+1)$
$=n(n-1)(n+1)(n-2)(n+2)+5(n-1)n(n+1)$
$=(n-2)(n-1)n(n+1)(n+2)+5(n-1)n(n+1)$
ここで、$(n-2)(n-1)n(n+1)(n+2)$は、連続5整数整数だから、「5の倍数」である。
よって、$n^5-n$は、前問1.と2.により、8の倍数かつ3の倍数かつ5の倍数であることから、
$4\times8\times5=120$であり「120の倍数」であることが示された //
ここで、本問の2.を「2項定理」を使って考えてみよう。
この解法は、「剰余による分類」に帰着させる解法です。
ポイント
2項定理
$$(a+b)^n=a^n+ {}_n \mathrm{C}_{n-1}a^{n-1}b+ \cdots + {}_n \mathrm{C}_{n-k}a^kb^{n-k}+ \cdots + {}_n \mathrm{C}_1ab^{n-1}+b^n $$
$n=3k+r$ ($r=-1,0,1$)とおくと、
$$(3k+r)^5={}_5 \mathrm{C}_5(3k)^5+{}_5 \mathrm{C}_4(3k)^4r+{}_5 \mathrm{C}_3(3k)^3r^2+{}_5 \mathrm{C}_2(3k)^2r^3+{}_5 \mathrm{C}_1(3k)r^4+{}_5 \mathrm{C}_0r^5$$
$$=3\cdot Q(r)+{}_5 \mathrm{C}_0r^5=3\cdot Q(r)+ r^5$$
これより、$(3k+r)^5$を3で割った余りは、$r^5$。
よって、
$n^5-n$を3で割った余り$R(r)=r^5-(3k+r)\equiv r^5-r $。
このとき、$r=-1,0,1$を代入して、
$R(-1)=(-1)^5-(-1)=0$
$R(0)=0^5-0=0$
$R(1)=1^5-1=0$
となり、いづれにしても、3で割り切れる。
したがって、$n^5-n$は「3の倍数」である。 //
いかがでしたか? 理解出来ましたか?
また、次回にお会いしましょう。。。