こんにちは。
「化学フォローアップ」の第1回目です。
今回は、「同位体」についての話題です。。。
「同位体」とは、『原子番号が同じ元素で、質量数が異なる(中性子数が異なる)原子のこと』を言います。
まずは、「典型的な存在比に関しての計算」について。
続いて、「放射性同位体」についての問題を扱います。
では、さっそく、考えてみましょう。
問題
ホウ素には質量数10と11の2種類の同位体が存在する。
その天然存在比は、それぞれ19.6%、80.4%である。
塩素には質量数35、37の2種類の同位体が存在し、
その天然存在比は、それぞれ75.5%、24.5%である。次の問いに答えよ。
- 同位体の相対質量として各質量数をそのまま用い、
天然に存在する三塩化ホウ素BCl$_{3}$の平均の分子量を小数点以下1桁まで計算せよ。
- 天然に存在する三塩化ホウ素BCl$_{3}$には何種類の質量のものが考えられるか。
- 各元素の原子量を求めると、
$$\mathrm{B}: 10\times\frac{19.6}{100}+11\times\frac{80.4}{100} \approx 10.8$$
$$\mathrm{Cl}: 35\times\frac{75.5}{100}+37\times\frac{24.5}{100} \approx 35.5$$
よって、BCl$_3$ の分子量は
$$\therefore 10.8+35.5\times3 = 117.3 //$$
- ホウ素原子が $^{10}$B と $^{11}$B の2種類で、塩素原子3個の組合せは
$$^{35}\mathrm{Cl}^{35}\mathrm{Cl}^{35}\mathrm{Cl}、^{35}\mathrm{Cl}^{35}\mathrm{Cl}^{37}\mathrm{Cl}$$
$$^{35}\mathrm{Cl}^{37}\mathrm{Cl}^{37}\mathrm{Cl}、^{37}\mathrm{Cl}^{37}\mathrm{Cl}^{37}\mathrm{Cl}$$
の4種類ある。
よって、
$$\therefore 2\times4=8 種類の\mathrm{BCl}_3 分子が存在する。 //$$
問題
放射線性同位体は不安定で、原子核が放射線を放出して別の原子に変化する。
この変化を( A ) とよぶ。
放射線には、$\alpha$ 線、$\beta$ 線、$\gamma$ 線などがある。
放射性同位体が壊れてその量が半分になる時間を ( B ) という。
年代測定などに使われる放射性同位体 $^{14}$C の ( B ) は5730年である。
- ( A )、( B ) に適当な語句を入れよ。
- $^{14}_{6}$C が$\beta$ 線を放出して他の原子に変わった場合、原子番号と質量数は
どのように変化するか。
- 地中から発見されたある植物のもつ $^{14}$C の濃度が大気中の濃度の6.25%であった。
この植物は枯れてからおよそ何年経っていると推定されるか。
- ( A ):壊変(崩壊)、( B ):半減期
-
$^{14}_{6}$C が$\beta$ 崩壊し、中性子が電子を放出して陽子に変化するため、
原子番号が1増加する。
$$^{14}_{6}\mathrm{C} \longrightarrow~~ ^{14}_{7}N + \mathrm{e}^{-}$$
$$\therefore 原子番号7、質量数14 //$$
-
$$6.25\mathrm{\%} = \left(\frac{1}{2}\right)^4$$
になるには、半減期の4倍の時間がかかる。
$$\therefore 5730\times 4 = 22920年 //$$
いかがでしたか。
理解は出来ましたか?
では、また次回にお会いしましょう。